恵比寿の東京都写真美術館で開催されている「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」展に行ってきました。共にライカを使用し近代写真を切り開いたアーティスト、木村(1901~1974)とブレッソン(1908~2004)。あまり期待しないで行ったのですが、予想に反して面白かった。戦後の日本の風景を白黒でとらえた木村の写真は、目にするのは今回が初めてだったけれど、どこか懐かしさを感じさせるものでした。ロラン・バルトが『明るい部屋』という写真論のなかで亡き母の写真について言及し、「ここに写る母はもういないが、この写真は母が確かに存在したことを証明する。《それは=かつて=あった》のだ。その事実が私を貫く」ということを書いていたが、木村の写真からも同じような印象を受けました。写真に写る彼ら・彼女らはもうすでにいないが、彼ら・彼女らは確かに存在したのだ。
ルーマニアの宗教学者、ミルチャ・エリアーデが「人間存在の破壊されえないこと(indistractivility of human existence)」ということを言っている。何が起ころうとも、どれだけの時が経とうとも、ある人が(例えばあなたが)存在したという事実は決して否定されない。人間存在の不滅性を、写真は刻印する。
リンク:「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」
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