問題が起きたときにどのように反応するかでリーダーの力量ははかられる。問題を個人のせいにしている限り、成果は絶対に上がらない。チームの中にスケーブゴートが生まれ、他の者はすべてをその者との比較の中でとらえ、それ故チームの誰も成長しなくなる。
チーム内で起きた問題はすべて自分のせいであるという覚悟がリーダーには求められる。自分の伝え方がまずかったのではないか、自分のチェックが甘かったのではないか、と常に自己を見直すことが必要である。その上で、それでは他のメンバーはどうなのか、他のメンバーだったならきちんと対応できたのか、など、つまり常に個々の問題を普遍的なものへと帰納させていくことが求められる。
個人を責めたて、加害者と被害者を作っても成果は上がらない。ビジネスとは人である。被害者が生まれた瞬間、そこからさらに問題は噴出する。チームの一人一人が本当に自ら主体的に行動できるように、その場を整えていくのがリーダーである。
「リーダーシップとは、つまりは人間の可能性を解き放つということだ。すぐれたリーダーシップに必要な条件の一つは、そのグループにいる人々に活力を与える能力である。人々の心を動かし、勇気づけ、活動に集中させる能力であり、一心不乱に取り組み、最大限の力を発揮してものごとを行う手助けをする能力である。
人々に活力を与えるというこの能力の重要な要素は、その人たちに対して伝えることだ。あなたがその人たちのすばらしさを信じている、ということを。その人たちにはほかの人に与えるべき何か大切なものがあることが、あなたにはわかっている、ということを。あなたが相手に対して持つ信頼感は、相手が自分自身に対して持つ信頼感を、ある程度決定する。」
『シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ』
ジョセフ・ジャウォースキー
リーダーの最大の仕事は次のリーダーを育てることである。リーダーの後ろ姿をチーム全員が凝視している。