Tuesday, January 19, 2010

スピノザ

『バガボンド』の最新刊を購入。相変わらず面白い。世界観がますますスピノザに近づいてきている。人間は万物である天の一部にすぎない。だから「私」というものにそれほどこだわる必要もない。あらゆる物事はあらかじめ決定されていて、それゆえに人間は圧倒的に自由である、というあたりなんかは、まさにスピノザ。

ということで、上野修の『スピノザの世界』(講談社現代新書)を読み直す。スピノザ、オリジナルはあまりにも難しいので、まずは入門書から。

パリ時代、スピノザの講演会に出席する直前にも、たしかこの本を読み返した。講演会の内容はこんな感じだった。19世紀の終わりから20世紀にかけて、ニーチェ、マルクス、フロイトの三人によって主体は解体された。しかし、すでに17世紀に主体の解体を唱えた人物がいた。それがスピノザである。彼は人間を万物である神の属性と捉え、デカルト的な「私」に対するアンチテーゼを打ち出した。

自分の未来がすべて現在の自分にかかっていると思うと、この一瞬があまりにも重くなる。物事はあらかじめ決定されている、未来はすでに決まっている、と考えることで現在の自分が限りなく自由になる、自分自身であることに集中できる、ということはあると思う。

「石がこの瞬間に全身全霊で石であるように、樹が全身全霊で樹であるように、全身全霊でただ斬ることの裡(うち)に在る、その点において儂(わし)以上の人間を初めて見た!!」
『バガボンド』32巻

有名な経営者(松下幸之助だったかな?)が、重要な局面では「それが自然であるかどうか」を基準として決定を下すと良い、と書いていた。「天」や「神」という言葉を出すと大げさになるが、物事の自然なあり様に耳をすます、ということは大切だと思う。

そういえば、かつて大江健三郎が断筆宣言をしたときに、「これからはスピノザだけを読んで生きて行きたい」というようなことを言っていた。僕にとってもスピノザは気になる存在であり続けそう。

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