Wednesday, March 3, 2010

『希望を捨てる勇気』

池田信夫の『希望を捨てる勇気』を読む。著者が一貫して訴えるのは、労働市場の流動化の重要性。以下、面白かったところを簡単にまとめる。

1. 日本では正社員を解雇するのが非常に難しい。そのため新卒を採用せず、すぐに解雇できる非正社員を雇うことでバッファを厚くし、既存正社員の既得権を守ろうとする。この問題を解決するには、労働市場の流動化が不可欠。

2. 終身雇用の時代には、若い頃は安月給で猛烈に働き、年をとってからその分を取りかえす(高収入や天下り)、というモデルが成り立った。しかし大企業ですら40年もつか分からない現在、がむしゃらに働ききった直後に首を切られることだってありうる。もはや終身雇用は成り立たない。実際、東大の人気職種は、かつては役所だったが、いまでは若い頃から高い給与が得られる外資である。

3. 終身雇用では、若い頃は会社に貯蓄し、年をとってから元を取り返すことが前提となる。そのため途中で会社を辞めると、非常に大きな損失を被ることになる。損をしないためにも、ひとつの組織に同調し続け、着実に出世していくことが求められるので、日本のサラリーマンは心理的に大きな重圧を抱えることになる。アメリカの研究者は、次のような調査結果を報告している。

・この会社をよくするために、言われたより良く働く:日54.3%、米74.3%
・私の価値観はこの会社の価値観とまったく同じだ:日19.3%、米41.5%
・いま知っていることを入社時に知っていたら、もう一度この会社を選ぶ:日23.3%、米69.1%

<感想>
納得できる部分が多かった。同年代の僕の友達でも、かつての終身雇用モデルでキャリアプランを立てている人なんてひとりもいない。

ここに取り上げた部分は、主に大企業に関する分析。中小やベンチャーだと、経営者の考えももう少しフレキシブルだと思う。実際、自分の会社を踏み台にして独立を促すような会社も存在する。(僕もそういう会社の社長と話したが、彼も労働市場の流動化の重要性を力説していた。)

年間自殺者数が三万人を越える現在、ストレスを抱えながら同じ組織に一生いようとするよりも、転職や起業できるだけの力を身につけ、どんな状況になっても自分で飯を食っていけるように努力する方がリスクヘッジとしては賢い。それにその方が人生も楽しい。

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